卒婚か離婚か悩むとき

卒婚か離婚か悩むとき 離婚
卒婚か離婚か悩むとき

子どもが独立した時、パートナーが定年を迎えた時、今後の人生について考える夫婦はとても多いのが現実。
関係に問題がなければそのタイミングで、より相手を尊重して、素敵な時間を過ごすでしょう。

でも、少しでも疑問や不満があるならば、一度しっかり将来について考えてみませんか? 

最近、卒婚・家庭内別居・別居・離婚などの選択肢から穏便な「卒婚」を選択する人が増えてきました。新しい夫婦の形態の一つです。

今回は、卒婚とは何か? ということと、離婚と卒婚の比較をしてみたいと思います。

あなたは、幸せのために、どんな形態を選びますか?

卒婚って何?

「卒婚」という言葉は、2004年に教育ジャーナリストの杉山由美子氏が、著書『卒婚のススメ』で使用した言葉です。
婚姻している夫婦が互いに相手の自由を尊重し、必要以上に干渉せず自立し、最低限のルールを守りながらパートナーシップを見直そうという新しい夫婦の形を表しています。

字の通り、結婚からの卒業という意味の言葉です。卒業と言っても離婚届を出して、結婚をやめてしまうのではなく、今までの時間の使い方を見直して、お互いが自分の時間を好きなことに使っていくことと考えてみるとわかりやすいでしょう。

卒婚を考え始めるタイミング

卒婚
Photo by Jen Theodore on Unsplash

子どもの独立

特に母親にとっては、子どもが独立したり、結婚したりするタイミングで、寂しさを感じることがあるでしょう。

子どものための食事の用意・洗濯がなくなると、家事に関する捉え方が変わり、それをきっかけに、パートナーへのちょっとした不満が少しずつ積み重なり、ストレスになり始めます。このタイミングで気持ちの整理を始めることが大切です。

パートナーの定年

今まで仕事を続けていた相手を支えるという、使命のような気持ちがなくなります。趣味がある人なら、定年後も楽しい時間を過ごしますが、何をするでもなく、一日中家でごろごろと食事を待たれると、どうしてもイライラの原因になってしまう人も多いようです。

親の介護

どちらかの親の介護が始まると、子育て以上に時間を取られます。

自分の時間を誰かに捧げるとき、今後のことを考え始める人はたくさんいます。パートナーの介護に関しても、自分がしてもらうことになるのかも知れないなど、色々考えることが多くなります。

満足する関係性ではない場合、今の関係性への疑問が大きくなるのですね。

卒婚のメリット

それではここで、卒婚のメリットを考えてみましょう。

  • 離婚届けを提出しないので、戸籍上変更がなく、世間体を維持できる
  • 離婚にまつわる煩雑な書類提出等の手続きがない
  • 戸籍上夫婦であることには変更がないため、どちらかが亡くなった場合には、遺産を相続することができる
  • 離婚に伴う財産分与がないため、不動産の処分の必要がなく、夫婦の共有財産を維持しながら今までと同じ家で生活を継続することが多い
  • 離婚すると相手に生活費の支払いを求めることができないが、卒婚は結婚状態は継続しているので、収入が低い側は今までと同様生活費を受領できる可能性がある
  • 同居を継続する場合、別の家に住むことに比較すると家賃や光熱費などを節約できる
  • 相互に自立した関係において、夫婦関係を見直すことで、お互いに尊重し、良好な関係を築き直せる可能性がある
  • 精神的に自立して自由になることで気持ちに余裕ができ、相手を思いやり、長期間問題だと思っていた問題が解決する可能性がある

卒婚のデメリット

もちろん、メリットがあればでもリットもあリますので、こちらもみていきましょう。

  • 卒婚で手に入れた自由な生活慣の結果、離婚を希望し始める可能性がある
  • 自由で自立した関係を築こうとしても、気持ちの整理が伴わず、やはり関係の継続は難しいとなる可能性がある
  • 結婚関係は継続しているので、法律上はお互いに扶養義務がある
  • 卒婚の夫婦関係について、合意し契約にまとめることができるが、夫婦間の契約はいつでも取り消せるため、(民法754条)永続的ではなく、不安を感じる場合がある

卒婚開始後のお金の問題

基本的に婚姻関係と同様、基本的にお互いに扶養義務があり、収入の高い方はパートナーに一定の生活費を渡ことが一般的です。

卒婚に関する契約で、生計を別にするという決まりを作ることもできますので、今後のお金の問題は話し合いで決めることができます。

離婚のメリット

卒婚
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お金のこと

離婚をするときには、「年金分割」という制度が利用できます。専業主婦(夫)が、婚姻期間中の配偶者の厚生年金・共済年金(報酬比例部分)の保険料納付実績について最大2分の1を分割し、年金として受け取ることができるのです。
共働きの場合も、両者の納付実績を合算してから分割するので、収入がパートナーよりも低い場合には分割制度を利用するとメリットがあります。

気持ちの問題

離婚を考えるということは、理由はどうであれ、それまでに積み重なった相手への不満が相当大きいと考えられます。相手を見るのも嫌だというところまで嫌悪感が膨らんでいるなら、別居や離婚を考える方がメリットが大きいでしょう。

新しい相手を探せる

本当に相手のことが嫌になっている場合は、離婚を選択して、新たな相手を探すスタートラインに立つことができます。(中には、この順番が反対の場合もありますが)

全ての面で、メリット・デメリットを比較して選択すれば、あたらしい世界が開けます。

卒婚は浮気のパスポートになる?

卒婚は、夫婦関係を継続しながらのスタイルなので、恋愛が自由にできるものではありません。パートナー以外の異性と肉体関係を持つと、不貞行為となり慰謝料を請求される可能性があります。

卒婚の契約に、自由な恋愛を認めるという項目を設けることはできるでしょうが、その辺りが相手への嫌悪感の原因になっている場合もあるため、ここはしっかりした話し合いが必要になります。

離婚か卒婚かは一人では決められないこと

離婚ほど傷が大きくなく、世間的にも今までとそう変わらない生活を送れるのが卒婚です。ただ、卒婚を理解して、そこに進むためにはまず相手に理解してもらうことが必要です。

この第一段階が意外に大変で、相手によっては、「浮気をしたからそんなことを言い出すのか」と誤解されたり、丁寧に説明して内容を理解してもらうのに長時間がかかったりすることが多いようです。

まとめ

卒婚を始めるにあたり大事なポイントは、まずは自分の気持ちをしっかり見つめて、明確にすること。それから、同居にしても別居をするにしても、お互いの「今後はこうやって生きよう」という共通認識を作ることです。

卒婚の時間を持つことにより、離婚に進む場合もありますし、自分と相手を見直すことでとても良い関係を取り戻すことができる場合もあります。

もやもやした時間を過ごして、どちらを向いたら良いのか迷いがあった方は、少しでも方向が決まってきたでしょうか?

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